日比谷で東京国際映画祭。


今年も中国・台湾ものを中心に結構たくさん見ることができた。
見た順関係なくメモ。
「裏か表か」
20世紀初頭の北イタリアの農村地帯。アメリカから来た、バッファロー・ビル率いる「ワイルド・ウエスト・ショー」の一座が多くの観客を集めている。暴力的な地主の夫ルイジの抑圧に耐えていたローザは、ショーの会場で牧童のサンティーノに出会い、魅了される。その後、酒場で起こったいざこざのなかでサンティーノはルイジを撃ち殺す。賞金首となったサンティーノとともに、ローザは山岳地帯に逃亡する…。アメリカ西部の英雄譚がヨーロッパ人を魅了していた時代を背景に、自由を求める女性のラブロマンスがガン・アクションの中で描かれる、西部劇へのオマージュにあふれた作品。実在の興行師バッファロー・ビルをジョン・C・ライリーが演じている。
-TIFF公式サイトの解説より
公式サイトのあらすじはちょっと違っているようで、
夫を撃ち殺したのはローザで場所も馬小屋だったと思う。
マカロニ・ウエスタンを現代に再構築した作品。
あまりウエスタンに詳しくないので、オマージュネタとかは分からなかったが、なかなか面白かった。
最終的に女性の開放に繋げるのは、いかにも現代的だがハリウッド的な説教臭さは無くて良かった。まぁ主人公の男は巻き込まれただけで可哀想なんだけど。
上映後のワークショップで若い監督が何度も「イタリアンウエスタンを壊そうと思った」と言っていたのが印象的だった。

「ボタニスト 植物学家」
新疆(しんきょう)ウイグル自治区の辺境の村に暮らす孤独なカザフの少年アルスィンは、植物と触れ合うことで心を癒やしている。ある日、ハン族の少女メイユーと出会い、ふたりは異なる存在ながらも心を通わせ、ともに成長していく。やがてメイユーが上海へ引っ越すことになり、遠く離れた“海”のある街に旅立つ彼女を前に、アルスィンは再び孤独のなかで、変わりゆく世界と向き合うことになる。映画の舞台となった新疆ウイグル自治区出身、北京電影学院卒業のジン・イー監督長編デビュー作。ビー・ガン監督がアドバイザーとして参加している。
-TIFF公式サイトの解説より
カザフ族の少年が主人公。
植物好きではあるが、オタクでもコミュ障でもなく、普通に友人と駆け回ったり取っ組み合いをして遊んだり、漢族の女の子とデートをしたりするリア充である。
大草原が舞台という点は、以前見た西モンゴルを舞台にした作品と似ている。
しかし、向こうは車でちょっと走れば大都会という環境であるのに対して、こちらは最寄りの駅までバスで1日というガチの田舎。
大人はスマホを持っているが、子供は持っていなかったり、遊びも滅茶苦茶素朴だったりする。
結局、みんな都会に出てしまう的な話なんであるが、
中国田舎映画好きとしては、かなり楽しめる一本だった。
「春の木」(春树)
『キムチを売る女』(05)、『柳川』(21)などで知られ、中国と韓国で活躍するチャン・リュル(中国語読みではチャン・リュー)が中国で撮影した最新作。成功することができなかった女優が四川省の故郷に戻り、その挫折から立ち直ろうとする姿が描かれる。主人公が故郷を離れているうちに地元の方言を話せなくなってしまっていることが、ドラマ上の重要な要素となっている。かつて多くの映画を製作してきた四川峨眉撮影所の古いスタジオが取り壊される前の、最後の姿がカメラに収められている。主演は『モンスター・ハント(原題:捉妖記)』シリーズで知られるバイ・バイホー。中国第5世代を代表する監督で、現在はプロデューサーとして活躍しているホアン・ジェンシンも出演している。
春の木=「春树」は主人公の名前。
方言ができなくて大きな役を逃した女優が
女優を辞めて故郷の成都に戻る。
「女優はとにかく普通語をきちんと話せるように!」と
厳しく指導された
かつての恩師に会うところとかは面白かった。
その恩師は痴呆症になっていたりするので、
文句も言えない。
成都の街をおしゃれに撮っていて行ってみたくなる。
ただ、これといった大きな展開があるわけではなく、
テンポもとにかくゆっくり。
木々の隙間(樹冠羞避)
パンデミックから3年、癌で余命僅かなニアンの母リンが台湾に帰ってくる。その母の死をきっかけに、ニアンがタイ人女性パートナーのザイザイと暮らしている家に祖母ハオがやってくる。母の中国での過去の恋人や、ザイのタイにいる娘など、様々な秘密が明かされるにつれ、生活はぎくしゃくしていく。やがてザイが去り、ニアンはすべてが失われるのを感じる。監督・脚本のチャン・ジュンユーは台中出身。国立台北芸術大学で映画を学んだ。原題の“Crown Shyness(樹冠羞避)”とは、直訳すると「樹冠が遠慮し合っている」という意味だが、木々がお互いに最大限の日光を浴びられるように配慮し合っている様子を示す言葉であり、本作での人間関係や他者との距離について示唆するタイトルとなっている。
樹木葬とか、同性愛とか今風のテーマを織り込んだ、祖母と孫の話。
「台湾に出稼ぎに来ているタイ人」という登場人物が新鮮だった。
オペレーターNo.23(地下美人)
父が失踪し、母との関係がギクシャクしている息子のハン・イエは、偶然拾ったカードの番号に電話してオペレーター23番と会話を交わす。やがて23番は長い間閉ざされていた母と息子の心を開く手助けをする。母子の関係は一時的に和らぐが、平穏の下に潜む危機が表面化する。『天安門、恋人たち』(06)、『二重生活』(12)などのロウ・イエ作品でお馴染みのハオ・レイが母親役を好演。監督のシア・ハオは、ウォン・カーウァイ『グランドマスター』(13)やユエン・ウーピン『酔拳 レジェンド・オブ・カンフー』(10)などの巨匠作品に参加した経歴を持ち、本作で監督デビューを果たした。
–TIFF公式サイトの説明
主人公は母子家庭の息子で美大予備校に通っている。
母親の恋人の存在もあって、遅い反抗期と言った感じ。
オペレーター23は、日本で言うテレクラの指名番号。
時代設定は北京五輪の頃で、当時は中国でテレクラが大流行していたらしい。
で、母親が工場をクビになって、なぜかテレクラで働き出して
そこに息子が電話をする。
ストーリー的にはコメディになりそうだが
とにかく真面目な映画でコメディリリーフもほとんどなかった。
ワークショップで監督も
「今回の作品は重すぎたので次回はもっと軽いものを撮りたい」といっていたほど。
監督は若くて女性に人気のある人らしく、チケットはすぐに売り切れて客席は女の人が多かった。
とても真面目な人らしく、質問にとてもしっかり答えていたのが印象的だった。

ガールズ・オン・ワイヤー(想飞的女孩)
自らを取り巻く苦難から逃れようとするふたりの女性を力強く描いた作品。家族の負債を返済するため、映画のスタントウーマンとして働いているファン・ディーのもとに、絶縁状態だったいとこのティエン・ティエンが訪ねてくる。麻薬中毒者で暴力を振るう父親を密告したことから麻薬組織に捕らえられたティエン・ティエンは、自己防衛のために組織の一員を殺してしまい、組織から追われていた…。ヴィヴィアン・チュウの前作『天使は白をまとう』(17)に主演したウェン・チーがファン・ディー役を、チャン・イーモウ監督の『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』(20)で鮮烈な演技を見せたリウ・ハオツンがティエン・ティエン役を演じる。ベルリン映画祭コンペティションで上映。
—TIFF公式サイトの説明
主人公と「いとこ」の関係がちょっと複雑で、
主人公が小さい頃、家に母親の弟が同居していて、
「いとこ」は、弟の連れ子。
弟は酷い毒親なのだが、
主人公の母親はかつて弟に助けられた恩があって頭が上がらない。
母親は服飾工場を経営していて、
こっちはこっちで赤字で首が回らない。
気の弱い父は母に何も言えない。
という面倒くさい家庭。
時は現代に移って
麻薬の売人だった父親のせいで
「いとこ」はヤクザに追われて
映画を撮影中の主人公の所に転がり込んで来る。
で、すったんもんだあって悲劇的な最後を迎える。
監督の見聞きした実話が元になっているそうで、
改革開放の始まったころは、事業に失敗して破産して
家庭崩壊とか、薬物がらみの問題というのが、よくあったらしい。

絵や登場人物は魅力的だったけど
話がよく分からなかったり、そもそもなんで
主人公がスタントウーマンなのか、よく分からなかったりした。
ダブル・ハピネス「雙囍」
5つ星ホテルで料理長を務めるティム・カオは、香港出身の婚約者デイジー・ウーとの結婚を控えている。しかし、ティムの離婚した両親は式で同席することを拒み、それぞれが自分のために結婚式を挙げるよう主張する。しかも風水師が両方の式に同じ縁起の良い日を選んだため、事態はさらに複雑に。ティムたちは両親に知られることなく、同じホテルで同時にふたつの結婚式を執り行わなければならない。『ウェディング・バンケット』(93)、『祝宴!シェフ』(13)など、台湾映画には華やかな宴席の人間模様を描いた名作が少なくないが、本作もその系譜に連なる一本。監督・脚本は、『弱くて強い女たち』(TIFF2020「ワールド・フォーカス」部門)のシュー・チェンチエ。『1秒先の彼女』(20)のリウ・グァンティンがティムを好演。

面白かった。
今回みた作品のなかでは一番ちゃんと普通に映画していた。
最初は2つの結婚式を同時に行うドタバタ劇や、台湾と香港両方の面倒臭い儀式や両親のこだわりで笑わせるが、次第に離婚した両親の間で苦悩しつづけた主人公のトラウマに焦点が移っていく。
途中、全てを承知のうえでこの困難を一緒に乗り切ろうと言っていたはずの新婦から、「せっかくの結婚式なのに楽しくない」的なことを言われた主人公は可哀想すぎた。
最終的には大団円なのだが、私はこの先もずっと主人公は面倒な人生が続くんだろうなぁと、もやもやしたままだった。
あと、冒頭の回想シーンで吉岡里帆がCA役で登場してた。
今回は正直、すごく面白い作品というのには出会えなかったけれど、やっばり連日映画館に通って、ハシゴしたりするのは楽しい。
ちらっと覗いた屋外上映が、結構寒い中で
ほぼ満席だったりして、やはり映画祭はいいものである。


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