舞台の「華岡青洲の妻」を見てから、有吉佐和子作品をいくつか読んだり聞いたり。
「青い壺」
突然ベストセラーになって本屋でも平積み。オーディブルにあったので聞いてみた。面白かった。内容はもちろんだが、世代的に昭和の情景や心理描写が楽しい。後の世代の人がどんなに調べても出せないであろう感覚や空気、臭いがある。特に印象的だったのは、戦前のエリートでお金持ちだった人が戦後、貧しくなってから昔の贅沢を振り返るところ。この感じは往事を体験していないと難しいだろうなぁと思う。
「華岡青洲の妻」
オーディブルで聴了。舞台と原作の違いが分かって面白かった。
「千姫桜」
国会図書館のデジタルアーカイブで読了。国会図書館のデジタルアーカイブは、絶版の本がオンラインで読めるのでありがたい。千姫桜はデビュー作と言われる短編。当時の色んな作家を集めた全集に入っていた。
千姫の元に女歌舞伎一座がやってくる。その一員である主人公に千姫が嫉妬するという話。一座の男衆の中に千姫の命を狙う者も居たりする。
面白かった。有吉佐和子が女の人の理不尽な嫉妬とか書くのが最初から得意だったと分かる。伝統芸能の批評家を志向していただけあって、女歌舞伎の描写とかも良かった。
「閉店時間」
デパートが花形産業だった時代のラブコメ。3人の女店員の仕事や恋を巡るあれこれ。
最初は図書館で借りたが、高密度レイアウトの500ページ超えで目が潰れそうだったのでちょうどセールだったKindle版を購入。
面白かった。やはり昭和の風俗を振り返る懐かしさが強い。
狭山湖へのサイクリング。なんでも預かってくれる駅。
携帯の無い時代に田舎の路上で怪我をしたときの対処。
昭和の海水浴場。日焼け促進のために塗るヨーチン。
エレベーターガールと宣伝部員というお洒落なカップルのデートが新宿のとんかつ屋三金で、密会場所も新宿の旅館だったり。
明確な男女の役割分担、執拗なパワハラと下請けいびり。
本当についこの間まであったものなんだよなぁと感慨ぶかかった。
登場人物のひとりが点字図書館で朗読テープ作成のボランティアをやっていて、そこには黒柳徹子とかが実名で登場したりする。たぶん、有吉佐和子がこの活動に興味を持っていた時期なのだろう。
検索しても分からない流行言葉?も出てくる。「チョーオチ」という言葉が奥手という意味で使われているのだが、当時使われていたかどうか、検索しても分からない。本当の意味での死語という奴だろうか。