audibleで聴了。


吉田修一の作品は初めて。文芸にはとんと疎く、恥ずかしながら、Audibleのおすすめに出てくるまで名前も知らなかった。
というか、「怒り」とか「悪人」は映画としては知っていた(未見)ので関連作品を見て、あれの原作を書いたひとかーという感じ。
ストーリーは長崎の極道の息子が、才能を見いだされて歌舞伎役者になる半生記。
(あらすじ)
1964年1月1日 長崎は料亭「花丸」
侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、
この国の宝となる役者は生まれた。
男の名は、立花喜久雄
極道の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。
舞台は長崎から大阪、そして、オリンピック後の東京へ。
日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。
血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。
舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、
その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか?
いやー、これは面白かった。
オーディオブックではピカイチ。NHK朗読だと華日記、紀ノ川級に楽しめた。
上下巻を夢中になってすぐに聞き終わってしまった。
あらすじだけ見るとすごいドロドロした話に見えるが、鬱展開をひっぱらないのと、地の文が「ですます」の語り調なので深刻にならずに済む。
話自体も面白いし文章も滅茶苦茶うめーっと思うが、この作品はもう完全にオーディオブックとして素晴らしい。読み手に尾上菊之助を起用したキャスティングと演出の勝利である。
劇中の歌舞伎の台詞がうまいのは当然としても、地の文や普通の台詞もとても自然で聞きやすい。
さすがだなぁと思ったのが女性の台詞にまったく違和感がなかったことである。
今まで聞いた朗読では、声優でも俳優でもアナウンサーでも、とにかく男性が女性の台詞を言うとすべてオネエ風味になってしまっていた。
女性が男性の台詞を言ってもさして違和感がないのだが、逆はどうにもヨロシクない。私だけかもしれないが聞き手としてはまぁまぁ辛い。
菊之助は特に声や話し方を作っている感じでもないのに、なんだか本当に女性が語っているような雰囲気がある。
本の中にも”真似るんじゃなくて成りきるんだ”的な話が出てくるが、この朗読こそがそういうことかという感じ。
菊之助が凄いのか、歌舞伎役者が凄いのか、たぶん両方なんだろう。
彼がAudibleで朗読しているのはこれ1本だけみたいだが、他の作品も読んで欲しいものである。
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