7月8月のNHKラジオ「朗読の時間」は野坂昭如の戦争作品を特集していた。
野坂昭如はまったく読んだことがなかった。
映画「火垂るの墓」の原作者であることは知っていたが映画の方も見ていない。
朗読が始まってすぐに聞き入ってしまった。
火垂るの墓では、兄妹が空襲で戦災孤児となってから亡くなるまでの過程が克明に描かれる。昔、図書館で読んだ庶民の戦争手記のような雰囲気の作品だった。
ただ悲惨すぎてリアルタイムで聞く分には耐えられるが、録音を後から聞くのはしんどく、結局全六回を歯抜けに聞いたきりである。
「戦争童話集」も悲劇ばかりなのだが、ちゃんと童話になっている。ふわっとした文章ならではの怖さがある。
今更ながら、ワイドショー的なイメージしか無かった野坂昭如という人が凄い作家だったと知る。
松尾貴史と宮沢エマの抑揚を抑えた読みも素晴らしかった。
以下、放送作品メモ
「火垂るの墓」
大ヒットアニメ「火垂るの墓」の原作を朗読する。太平洋戦争末期、兵庫県神戸市・西宮市近郊を舞台に、戦火の下で親を亡くした14歳の兄と4歳の妹が終戦前後の混乱の中を必死に生きようとするが、その思いも叶わず栄養失調で悲劇的な死を迎える。愛情と無情が交錯する中、蛍のように儚(はかな)く消えた2つの命の悲しみと鎮魂を描く。1967年直木賞受賞作。
●戦争童話集
「凧になったお母さん」
焼夷(い)弾の炎で水分を奪われた母親が、自らの唾や汗や乳、血液までも幼いわが子に塗り付け、命を救おうとするが。
「小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話」
日本軍の潜水艦に片思いするクジラが、己を犠牲にしてまで乗組員を救った話。
「青いオウムと痩せた男の子の話」
父は戦死し母も死に、男の子は、父が残していった青いオウムと防空壕(ごう)で過ごした。
「干からびた象と象使いの話」
戦況悪化で、餌を絶たれ餓死寸前の象を象使いは哀れに思い、動物園から逃がす。
「赤とんぼと、あぶら虫」
「赤とんぼ」と呼ばれる旧型機で特攻を命令される兵士が最後に想(おも)いを託したもの。
「年老いた雌狼(おおかみ)と女の子の話」
年老いた雌狼(おおかみ)は、家族と離ればなれとなって衰弱する女の子の命を助けようとする。
「ソルジャーズ・ファミリー」
離島にとり残された兵士が『冒険ダン吉』と出会い、空飛ぶ潜水艦『富士』を夢見る。
「ぼくの防空壕(ごう)」
防空壕(ごう)の中、少年は戦死したはずの父と出会い、出来なかった父子の会話をする。
「八月の風船」
風船は子供の時の楽しい思い出。だが、勤労学生達が作るのは、風船爆弾だった。
「馬と兵士」
空襲で怪我をした馬を助けようとした若い兵士は脱走兵となり、馬との運命を選ぶ。
「捕虜と女の子」
アメリカ人の脱走捕虜と出会った女の子。兄妹のように仲良くなった二人の道行き。
「焼跡の、お菓子の木」
焼け跡に残る甘い匂いのする木。それはお菓子の木だったが、大人は誰も知らない。
NHKのサイトより引用・編集